猫と庄造と二人のをんな(1956年)
出演者:山田五十鈴(品子) vs 香川京子(福子)
山田五十鈴さん演じる庄造の元妻である品子と、その後釜としてやってきた香川京子さん演じる福子の闘いです。女たちは庄造の気持ちを掴みたいのに、庄造は二人の女には愛情はなく、彼の心は全て飼い猫のリリーに注がれているという状態です。そんな中品子の家に預けられてしまったリリーと会いたくて品子の元に庄造がやってきます。喜ぶ品子ですが、庄造の気持ちがリリーにしかないことで怒った品子はリリーを窓から表に投げ捨ててしまいます(リリーは猫なので全然問題ありませんでした)。慌ててリリーを追いかけて表へ出ようとする庄造。ちょうどその時に庄造を追って福子も品子の家にやってきます。そこで一人の男を競い合っている二人の女はにらみ合いになります。すごい形相でにらみ合う二人の顔を見た庄造は「二人共ええ顔や、はよ勝負せんかいや。あんじょうやってや」といいリリーを探しに雨の中、外に走って出て行ってしまいます。残された二人の女はお互いににらみ合いながら近づきます。「あんたみたいなもんに負けしまへんで」と品子が言えば「なんやて、こっちかてお前みたいなやつに負けるかい」と福子も言い返します。そして品子と福子はほとんど同じセリフをもう一度言います(大事なことなので2回…)そして興奮した福子は持っていた傘とバックで品子を殴り始めます。狂ったように両手で傘とバックを振り回す福子ですが、手から傘とバックが離れたタイミングで品子が反撃に出ます。福子に飛び掛かり髪の毛を鷲掴みにします。しかし福子も負けずに品子の髪を掴み反撃します。お互いに髪の毛を掴み合いつつ、顔がぶつかりそうな位近距離でにらみ合う二人。そして闘いは一度玄関の外にでたりして激しく取っ組み合いますがお互いの闘志は衰えません。最後は二人共玄関に転がりこむような感じで寝ころび双方立ち上がれない感じで両者引き分けという終わり方でした。闘い自体は結構見ごたえありましたが、引いたカメラの時には真ん中の柱が邪魔で、カメラが近づいた時にはアップにしすぎだろという感じでした。私の持っている日本映画ではこの作品が一番古い作品になりますが、日本映画の最初の紹介作品としてなかなか見ごたえがあるいいキャットファイトだと思います。
幕末太陽傳 (1957年)
出演者:南田洋子(こはる) vs 左幸子(おそめ)
南田洋子さん演じる女郎のこはるが左幸子さん演じる同じ女郎のおそめと言い合いになります。こはるが「なんだい、お茶ばっかりひいてるくせに」と痛烈な一言を放ったことがきっかけとなり激しい掴み合いに発展します。庭に飛び出た二人は相手の帯を引っ張ったり、その解けた帯で相手を叩いたりの闘いを繰り広げます。また、馬乗りになって平手打ちしたり腕に噛みついたりと激しく取っ組み合います。まわりから止めに男たちが割って入りますが、二人は闘いをやめません。その後おそめが逃げ出しますが、こはるがまだ終わっていないわよとばかりに追いかけ、戦いの場は建物の2階へ移ります。残念ながら2階ではすぐにまわりに止められて戦いは終了してしまいます。最後引き離されながらもお互いに相手にけりを繰り出してました。この作品はフランキー堺さん、石原裕次郎さんといった大スターが出演している邦画界で歴史的傑作ともいわれている名作です。そのような名作で撮られたシーンである為、このCFについては日本映画通の人にはとても有名だと思います。このCFそのものは私個人的には特に魅かれるというわけではなかったりしますが、日本映画CFを語る上でははずすことのできない作品かなと思います。ちなみに本作の監督である川島雄三監督はCFがある作品を他にも何作かとっているのですが、個人的に惹かれなる作品はなかったかなという感じでした(完全に個人的な感想です)。
穴 (1957年)
出演者:京マチ子(北長子) vs 日高澄子(中村武子)
京マチコさん演じる長子(着物)と、長子に扮した日高澄子さん演じる武子(シャツ)の闘いです。「警察に自首しましょ」と薦める長子、しかし武子が「あんたが死ねば迷宮入りになるんだ」と長子に飛び掛ります。そして取っ組み合いになり転がりまわります。武子が長子に馬乗りになり、首を絞めようとしますが、長子も下から髪をつかんで対抗します。しかしそれを振りほどき、なおも首絞め攻撃をする武子。今度は長子が腕に噛み付いてなんとか脱出します。そのまま長子は外へ逃げようとしますが、最後は武子が後ろから棒で一撃を食らわし、闘いは終了となります。本作品はCFとしては個人的にはもう一つですが、映画としての面白さは高評価のようです。
純愛物語(1957年)
出演者:?(脱走しようとする女達)と?(脱走を止めようとする女達)の乱闘
舞台は聖愛学園という女の子が集められた少年院です。見回りに来た先生を襲いカギを奪って逃走しようとする3人の女の子。ドアに合うカギを探している間に先生から止めてと言われて止めに来た女の子達と喧嘩になります。騒ぎを聞きつけてでてきた他の女の子達も入り乱れたちまち廊下で乱闘状態になります。まあ乱闘なので見ごたえは今一ですが一応ご紹介しておきます。この時代に綺麗なカラーの映像というのも珍しいと思いました。
あらくれ(1957年)
出演者:高峰秀子(お島) vs 三浦光子(おゆう)
高峰秀子さん演じる気の強い妻のお島と三浦光子さん演じる夫の愛人おゆうの対決です。夫がおゆうの家に行ったところにお島が乗り込んできます。慌てて裏口から逃げる夫。そこでお島とおゆうが二人で対峙することになります。そこでお島とおゆうは言い合いになります。「そんなに悔しがるんだったらもっと大事にすりゃよかったのに。お前さんどっかの締まりが悪いからそれで男に捨てられんだよ」とおゆうが言えば、「あんなにのろまな髭だるまが欲しけりゃくれてやるから、ありがとうと礼をいいな」とお島は言い返します。「おつな口上だね」というおゆうにお島は「お辞儀はこうしてするもんだよ」とおゆうの頭を抱え込みむりやり下に押さえ込みます。叫び声をあげて逃げるおゆう。何をするんだと近くの屑箱をお島に投げます。もともと男相手でも引けを取らない喧嘩をするあらくれのお島、おゆうに掴みかかります。おゆうは逃げ腰ですが、ほうきを手に持ち反撃します。おゆうもほうきを掴み逆にそのほうきを掴み返して反撃します。そしてほうきを投げ捨てておゆうに掴みかかります。完全に逃げ腰のおゆうは「誰か来て」と泣き叫びますが、容赦なく殴りつけるお島。しかしおゆうはなんとかそこから抜け出し雨の中表へ走って逃げます。もう少しおゆうがお島に対抗できる強さがあればよかったという感じです。
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